
冬のツーリングはジャケットだけじゃダメ!下半身の冷えこそ疲労の原因だ!
高性能なライディングジャケットに投資するライダーは多いですが、意外と見落とされがちなのが下半身の防寒です。
上半身はタンクやカウルで多少守られますが、下半身は常に走行風にさらされています。気温が一桁台になると、膝から下の冷えはすぐに体の芯の冷えにつながり、集中力の低下や疲労の大きな原因となります。
また、オーバーパンツは驚くほど暖かく、多くのライダーにとって電熱ウェアを検討する前の最終防寒策になり得ます。この記事では、真冬の快適性を左右する防寒パンツ(オーバーパンツ)の重要性を解説し、あなたの冬のツーリングを快適にするための失敗しない選び方を伝授します。
【断言】専用の防寒パンツなくして冬のツーリングは成立しない理由



「ジーパンの下にタイツ」じゃダメ!真冬は下半身こそ「防風性」と「保温性」のプロテクトが必要!
電熱ウェアの記事でも触れた通り、真冬のツーリングは「上下のセット」が必須です。特に防寒パンツは、一般的なデニムやチノパンに重ね着するタイツやインナーだけでは得られない機能を提供します。
寒さを我慢しながら運転することは、安全性を著しく低下させます。防寒パンツは、寒さから体を守り、本来のパフォーマンスを維持するために欠かせない生命線となるのです。


防寒パンツの3大機能


一般的な防寒対策(重ね着)だけでは真冬の風圧と寒さに耐えることはできません。ライディングパンツに求められるのは、以下の3つの機能を高次元で両立させることです。これらは、防寒パンツを選ぶ際の基準にもなります。
- 圧倒的な防風性
走行風を完全にシャットアウトします。これが、一般的なパンツとの決定的な違いであり、防寒の最重要機能です。 - 高性能な保温性
中綿や裏地のフリース素材が、下半身から逃げる体温を効率よく閉じ込めます。 - プロテクション性能
膝や腰にプロテクターを内蔵しているモデルが多く、万が一の転倒時の安全性を確保します。
防寒パンツの二大選択肢:ウィンターパンツとオーバーパンツ


防寒パンツを選ぶ際、大きく分けて「ウィンターパンツ」と「オーバーパンツ」の2種類があります。あなたのツーリングスタイルに合わせて最適なものを選びましょう。
種類 | 特徴 | メリット | デメリット |
オーバーパンツ | 普段履きのパンツの上に重ねて履くタイプ。脱ぎ着が容易。 | 防寒性は最強(履くダウンジャケット級)。サイドファスナーなどで着脱が容易タイプもある。 | 着膨れしやすい。特に厚手のジーパンの上からは履きにくい。 |
ウィンターパンツ | 単体で着用するタイプ | 操作性とフィット感が優れている。シルエットがスッキリしている。 | オーバーパンツほど暖かくはない。オーバーパンツと異なり、サイドオープン機能がないため、ブーツを履いたままの着脱はできない。 |
【重要】オーバーパンツの落とし穴と現実的な着用方法



謳い文句は鵜呑みにするな!厚手のジーパンの上からは正直キツイぞ!
厚手のパンツはNG!操作性低下の危険性


オーバーパンツは「普段のパンツの上から履ける」と謳われますが、そのまま鵜呑みにするのは危険です。これは薄手のタイツの上から履く場合に限定された話であり、普通のデニムやチノパンはもちろん、プロテクター入りのライディングパンツの上からでは、かなり窮屈になるのが現実です。
100歩譲って履けたとしても、あの言葉に言い表せないゴワゴワ感…普通に違和感しかなく不快です。
窮屈すぎて、膝の曲げ伸ばしや足上げなどの操作性が著しく低下し、ライディングに支障をきたします。
ベルトの厚みは考慮されていない


普段ジーパンを履く際にベルトを着用している場合、その出っ張りやバックルの厚みは、オーバーパンツの設計でほとんど考慮されていません。
ベルトの上から重ね履きすると、腰周りが圧迫されて血行が悪くなったり、長時間のライディングで痛みが生じる原因になります。
現実的な重ね着の推奨


オーバーパンツの防寒性能は非常に高いため、下に履くのは薄手で十分です。
【筆者が推奨する着用方法】
オーバーパンツを快適に着用するなら、下に履くのは薄手のインナーやタイツのみに留めるのが賢明です。筆者自身も、オーバーパンツを着用する際はヒートテックなどの機能性インナーのみを着用しています。
オーバーパンツはサイズ選びが非常に重要です。ネットで購入する際は、レビューやサイズ表をよく確認し、もしもの時に備えて商品の返品・交換に関する規定もあらかじめチェックしておくと安心です。
失敗しない防寒パンツの選び方(4つのチェックポイント)



快適性、安全性、利便性…失敗しないために重要なポイントはこれだ!
冬のツーリングの快適性と安全性を確保するため、防寒パンツ選びは非常に重要です。いくら暖かくても、バイクに乗っている際に操作性が損なわれたり、万が一の際の安全性が不足していては意味がありません。
ここでは、プロテクターの仕様、利便性、そしてフィット感という、快適性と安全性を大きく左右する4つの重要なチェックポイントを解説します。
膝プロテクターの有無と位置調整機能


防寒性だけでなく、安全性は最優先です。購入前に、パンツに膝プロテクターが内蔵されているか、または内蔵用のポケットが備わっているかを必ず確認しましょう。ほとんどのライディングパンツは内蔵可能ですが、念のため確認しておくことが重要です。
さらに、プロテクターの位置を上下に調整できる機能があると、ライディングポジションに合わせてプロテクターが膝の正しい位置に来るため、安全性が高まります。
標準装備のプロテクターが簡易なものであっても、CE規格を満たした高性能なものにアップグレード(交換)できるのが一般的です。
プロテクターの素材(ニーグリップのしやすさ)


プロテクターには、硬いハードタイプと、柔らかいソフトタイプがあります。操作性と快適性を求めるなら、ソフトタイプが断然おすすめです。
ソフトプロテクター(CE Level 2など)は、柔軟性があり、ニーグリップの際に太ももや膝に自然にフィットするため、操作性が落ちにくいという大きなメリットがあります。
ハードプロテクターは保護力が高い反面、ニーグリップ時に違和感を感じやすい傾向があります。快適な操作性を求めるなら、ソフトプロテクター内蔵モデルを選びましょう。
出先での快適性:脱ぎ履きのしやすさと直履きの注意点


オーバーパンツには、サイドファスナーで脱ぎ履きしやすいタイプがありますが、筆者は荷物を増やさないため、オーバーパンツをインナー(タイツなど)の上に直履きする運用を推奨します。
この「直履きスタイル」で出先でアウターを脱ぐ場合、下に履いているのがヒートテックなどのインナー1枚だと、そのままでは人前を歩けません。
目的地で人目がある場合は、下に人前を歩けるズボンを履いているか、または脱がない運用であることを前提として選びましょう。
「ウエストと股下」のサイズ感


防寒パンツはサイズ選びが命です。サイズが合わないとライディング時の姿勢に影響し、プロテクターの位置がズレて安全性が低下します。
- ウエスト
普段着の上から履くため、アジャスター(調整ベルト)が付いているモデルを選び、きつすぎないか確認します。 - 股下
ライディングポジションで足首とブーツの隙間を完全に塞ぎ、風の侵入を防げるかが重要です。立った状態で裾が地面にギリギリつかない程度の長さ(普段履きより5~10cm長い目安)が、バイクに跨った時にちょうど良くなります。必ず跨って確認しましょう。
まとめ:下半身の冷えを制する者が冬のツーリングを制す



ジャケット、電熱グローブ、そして防寒パンツ。この3点セットで、冬の快適性は約束される!
防寒パンツは、冬の快適性を高めるための基礎中の基礎であり、電熱グローブと同じくらい重要な装備です。
上半身の防寒対策(オールシーズンジャケット)と、指先の熱源対策(電熱グローブ)に加えて、下半身の防風・保温対策(防寒パンツ)を徹底することで、あなたの冬のツーリングは劇的に快適なものになります。
快適な冬のツーリングのため、ぜひあなたのスタイルに合った一着を選んでください。
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