にこぞう冬なら南へ行けばいい!そんな甘い考えが、箱根の雪とバッテリー切れで心は打ち砕かれました…。でも、たどり着いた先にしかない景色もあっった!
冬のツーリングは、ある意味で自分との対話です。特に2月という厳冬期に、千葉から和歌山の潮岬まで往復1200kmを走るとなれば、それはもはや「旅」というより「修行」に近いものがありました。
なぜ、そんな時期にわざわざ最南端を目指したのか。そして、道中で僕を襲った予想外のトラブルの数々。今回の記事では、僕が実際に体験した泥臭い失敗談と、それでも手に入れたかった「本州最南端」の証拠について、ありのままに綴ります。
冬の1200kmを支えた戦闘服たち


今回の1200kmツーリング、そのほとんどが時速100km近い高速走行です。僕は時間のないしがないサラリーマン。急遽思い立った一泊二日の弾丸本州最南端ツーリングですが、時間がないなら高速道路をフル活用すれば良い!と思い立ち、勢いで決行してきました。
一体どんな装備でツーリングに出かけたのか?当時の装備品を紹介しようと思います。
まずは身につける装備品から!
冬の高速道路は、風圧が体温を容赦なく奪っていきます。僕が愛用しているRSタイチの「モトレックウィンターパーカー」は、カジュアルな見た目以上に防風性能が高く、今回のような長距離でも疲れにくいのが特徴です。


これに加えて、下半身は「クイックドライ カーゴパンツ」と「コミネのオーバパンツ」で固めました。




足元は「シンテーゼ16」。長時間のライディングでも足首が疲れず、シフト操作もスムーズに行えるのが魅力です。


また、長旅に欠かせないのが収納です。バイクはそのままだと積載性は皆無です。今回のツーリングでは「GIVI V47N」のトップケースと「MFK-281 サイドバッグGT2」の組み合わせで、着替えや防寒具を余裕を持って積み込みました。


これらの装備は、単なるカタログスペック以上の働きをしてくれましたね。特に高速走行時のバタつきの少なさや、冷気の遮断性は、精神的な疲労軽減に直結します。
冬のロングツーリングを計画しているなら、まずは「風を入れない、体温を逃がさない」という基本を徹底した装備選びを強くおすすめします。
なぜ2月に行くのか?「本州四端制覇」という目標


僕には、2026年中に達成したい大きな目標があります。それが本州四端制覇(本州四端ラリー)。本州の東西南北、それぞれの端っこに到達し、自治体から発行される証明書を集めるという挑戦です。しかし、僕は平日は働くサラリーマン。自由に動ける時間は限られています。
2026年の1年間という限られたリソースの中で、全ての端を回るには戦略が必要。2月に最北端の青森(大間崎)を目指すのは、路面状況を考えれば不可能に近い。でも、1年はあっという間に過ぎ去ります。2026年の前半でまず1箇所を確実にクリアしておきたかった。だからこそ、比較的雪のリスクが低いであろう南を目指したのです。
2月なら、南に向かえば路面凍結のリスクも低い。そう踏んで、最初のターゲットを和歌山県の「潮岬」に設定しました。サラリーマンが限られた有給と休日を使い、年間目標を達成するための「攻めの選択」でしたが、これが全ての苦行の始まりになるとは、出発前の僕はまだ知りませんでした。
実はこの後、春に満を持して最東端・最北端に挑んだのですが……結果は見事に挫折。本州四端の壁がいかに高いか、その泥臭い記録もあわせてどうぞ。


出発直後の絶望。電熱グローブの充電忘れと箱根の雪


出発は朝4:45。千葉の自宅を出て、少しでも高速代を浮かすために都内は下道で抜けようと走り出した時、電熱グローブの充電器を家に忘れてきた事が発覚。
しかも、本体のバッテリー残量は80%。フル充電してなかった…。今から家に戻れば、和歌山到着はさらに遅くなってしまう。家に戻るという選択肢を捨て、電熱を節約しながら走る選択をしました。


都内を抜け、箱根に差し掛かる頃には高速道路に乗っていました。
しかし、空は厚い雲に覆われ、雪が舞い始めました。標高が上がるにつれ気温は下がり、指先の感覚は冷えを通り越して、鋭い痛みに変わりました。
流石にこれ以上電熱なしでは無理だと判断し、僕はバッテリーの節約をかなぐり捨てて電熱のスイッチをONにしました。


結局、寒さと疲労に耐えきれず、逃げ込むようにサービスエリアで(雪よやめと祈りつつ)1時間ほど休憩。温かい飲み物を握りしめ、強張った体を解きほぐすためにじっと耐える時間は、至福でした。温かいって最高!
とはいえ…旅の序盤だというのに心は折れかけていました。それでも、ここで引き返せば目標は達成できない。その一心で、僕は再び重い腰を上げ、冷え切ったアクセルを回しました。
高速道路の暴力的な風圧。30分が限界の肉体



高速道路は、ただの移動手段ではありませんでした。僕の体力と精神力を削り取る巨大な研磨機のようなものでした…
箱根を越え、静岡を走り抜ける頃、本当の戦いが始まりました。千葉から和歌山まで片道約600km。時間短縮のために高速道路をフル活用しましたが、時速100kmで受け続ける冬の走行風は、想像以上に肉体を追い詰めていました。
天候自体は穏やかでも、冷たく重い空気の中を突き進むのは、常に正面から巨大な壁に押し返されている感覚です。本来なら距離を稼ぐための高速道路が、体力を奪い去る最大の試練として立ちはだかりました。
思考を停止させ「ガン開き」の目で走るツーリングハイ


走行開始から数時間が経つと、風圧を受け止める首と腕が悲鳴を上げ始めます。通常なら1時間以上走れるはずが、わずか20〜30分で限界がやってくる。SAでの休憩で回復した体力も、本線に戻れば一瞬で霧散していきました。
意識を走ることだけに集中させ、前を走る車のテールランプを「ガン開き」の目で見つめ続ける。SAに滑り込むたびにコーヒーやカフェインで無理やり神経を覚醒させては、再び風の中へ戻る。
無理やり自分を鼓舞し、次のサービスエリアまでの「20分」を必死に繋いでいく。そんな、サラリーマンの底力(あるいはただの意地)だけで走り続けました。
トンネルのゲシュタルト崩壊と気合のシールド全開


和歌山に近づきトンネルが増えると、新たな恐怖が襲います。等間隔で続く景色は、脳から距離感やスピード感を奪い、意識を遠のかせます。
そのたびに僕は、ヘルメットのシールドを全開にしました。時速100km近い冷風を顔面に叩きつけ、意識を現実に引き戻す。SAの少ない和歌山の高速道路では、止まりたくても止まれない。そんな極限状態で、僕は最南端を目指しました。
本州最南端の証。証明書を入手する方法



やっと着いた潮岬。でも、目の前の観光タワーは閉まっていました。でも諦めないでください。証明書は、執念があれば手に入ります。
ツーリング初日は、体力の限界もあり宿へ直行しました。夜の潮岬に行っても暗闇が広がるだけですし、せっかく1200kmも走って目指す景色なら、やはり太陽が昇っている時に拝みたい。そんな思いで、翌朝一番に潮岬へと向かいました。
しかし、苦労の末に辿り着いた潮岬で待っていたのは、潮岬観光タワーの定休日という追い打ちでした。現地で証明書を手に入れられない絶望感。「ここまで来て、手ぶらで帰れるか!」という叫びが海風に消えていきましたが、実は他にも道はありました。
証明書が入手できる主なスポット


本州最南端訪問証明書は、観光タワー以外でも入手可能です。もし僕と同じように「タワーが閉まっていた!」という方は、以下のスポットを回ってみてください。ちなみに僕は、道の駅くしもと橋杭岩で購入しました。
- 潮岬観光タワー
- 大江戸温泉物語 南紀串本の売店
- 道の駅くしもと橋杭岩
- 南紀串本観光協会
- 南紀串本観光協会 古座
詳しい配布場所や最新情報は、串本町観光協会の公式サイトで確認することをおすすめします。僕は執念で別の配布場所を突き止め、なんとか「本州最南端」の称号を手にすることができました。この紙一枚のために1200km走ったのかと思うと笑えてきますが、その重みは確かに感じました。
観光スポットを巡る時間は「一切なし」


ここで一つ、厳しい現実をお伝えしておきます。一泊二日の弾丸で千葉から和歌山を往復する場合、観光を楽しむ時間は1分もありませんでした。
1日600kmの走行は、休憩時間を含めるとほぼ一日中バイクに乗っている計算になります。冬の短い日照時間と帰路の体力を考えると、そんな余裕はどこにもありません。
僕が潮岬周辺に滞在したのは、証明書を求めて奔走したわずかな時間だけ。写真を数枚撮り、証明書を握りしめたら、すぐにまた復路の修行が始まります。これが、しがないサラリーマンが選んだ弾丸本州四端ラリーのリアルな姿です。
まとめ



皆さんも、冬のロングツーリングの際は充電器チェックだけは忘れずに!僕のような修行は、1回で十分ですからね。次はもっと暖かくなってから、別の端でお会いしましょう!
最後に、今回の旅にかかったリアルな数字を公開します。
- 宿代:6,270円
- 高速代(往復):17,990円
- ガソリン代(往復):8,060円
- 合計:32,320円
サラリーマンの週末の遊びとしては、決して安くはありません。でも、極寒の中で指先の感覚をなくし、雪に打たれ、風圧に耐え抜いて手にした「証明書」には、金額以上の価値がありました。
2月の往復1200km。それは僕にとって、自分自身の限界を知り、それでも前へ進む意志を確認するための儀式だったのかもしれません。
「冬に無理して行く必要はあるか?」と聞かれれば、僕は「Yes」と答えます。この過酷な道のりを乗り越えたという自信は、2026年のこれからの旅、そして本業での困難を乗り越える糧になると信じているからです。
次なる「端」はどこになるか。次の冬ツーリングでは必ず、電熱グローブの充電器を真っ先にパッキングして、最高のコンディションで挑みたいと思います。


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